研究背景について

「X線CTの精度向上に関する研究」についての概要

近年,機械デバイスや電子デバイスは様々な部品を複合した一体品として製造・出荷されています。これらのデバイスの内部構造非破壊検査するためには,三次元の形状情報を直接的に得ることが可能なマイクロフォーカスX線CTが非常に有効ですが、様々な被写体を撮影したいという声がありその性能は十分であるとはいえません。

また、真空管の一種であるX線管装置では、フィラメントを加熱して生じた電子を電圧により加速して、ターゲットであるタングステン等の金属にうちこむことでX線を発生させています。しかし、X線の発生効率は非常に低く、電子の運動エネルギーの99%以上は熱エネルギーに変わりターゲットを含む陽極部材を加熱しています。これがX線CT装置における焦点移動の主因となっており、高精度な撮影が必要になるほど焦点移動による影響が大きくなると考えられます。

被写体の例として、マイクロ歯車透析用中空糸を考えてみたいと思います。どちらも数マイクロメートルのスケールでマイクロフォーカスX線CTで、通常の撮影を行っても十分な精度でCT画像を得ることが困難であると考えられています。そこで高精度な撮影を行うために積算回数撮影方向数を増やし画像の精度を向上させることが考えられますが、長時間撮影を行うと焦点移動による画質低下の影響が大きくなり、画像にボケが生じる可能性が高いです。

これまでに機械的に焦点移動を補正する機構はすでに提案されていますが、機械的に補正することには限界があり、さらにコストアップが問題となっています。したがって画像データ上で焦点移動を補正するアルゴリズムはCT装置に大きなメリットをもたらすことができます。

本研究ではX線CT装置における焦点移動に着目し、この現象が画像に与える影響を調べるとともに、その補正を行いX線CT画像の精度を向上させることを目的としています。

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